その代償を金額で残すべきです。
風俗業界用語のひとつだと思うのですが、「転々虫」という言葉があります。これは、風俗店を転々として働いている女のコのことをいいます。3日働いたら、店に連絡もせず辞め、また新たに違う店に入店するという具合。一般社会では考えられませんが、風俗業界では「仕方ない」とされている部分です。 仕事なのだから、辞める時はひと言、お店に言うべき。私は、この仕事をする前では、どんな仕事でも、そうあるべきだと思っていました。 でも、最近、「仕方ない」のかな、とも思うようになりました。それはこんなことがあったからです。 ある風俗店に取材に行くと、以前、インタビューをした女のコに再び会ったのです。対面した時、女のコが「あっ」という顔をしたので、「ああ、あの時の…」と声をかけると、そのコはヤバイという顔をしました。 そのコは以前は、ソープランドに在籍していましたが、再び、私にあう頃には、デリバリーヘルスで働いていたのです。 世間話をしながら、インタビューを始めると、「あの、以前も取材してもらったことありますよね?」と言われました。そうですね、と答えると、彼女は一気に暗い顔になりました。 話を聞いてみると、彼女は1つの店に1ヶ月以上、在籍したことがないというのです。お金が必要で働いているが、働きだすと強烈な鬱になり、当日欠勤や無断欠勤を繰り返す始末。早く、お金を稼いでやめたいのはやまやまだが、働くのが嫌になるのだそうです。そりゃそうだ、いまさっき会った人と、5分も経たずに抱き合い、性器を見せ、粘膜を擦り合わせないといけないのだから。しかし、だからこそ得られる「高収入」なわけで。 3日働くと、店を飛び、手元の金がなくなるまで、何もしない。3日で10万稼いだら、10万が尽きるまで、働かない。店で会う、客のことを考えると、嫌悪して吐きそうになる。彼女はそう言うのです。 こういうコがほとんどではないと思いますが、いわゆる転々虫で高収入求人業界は持っているんではないかと、最近考えます。店を探すコがいるから、私たちは求人をバラ巻いている。そんなコたちは何度も、私たちが作った求人誌を見ているので、「稼げる店」と「稼げない店」の区別がついていると言えます。求人誌を見て応募して、当たったと思うこともあれば、外したと思うこともあるのでしょう。転々虫の女のコは稼げない店を見極める術を知っています。 ありがたいと思うべきなのか、悲劇と思うべきなのか、私にはわかりませんが、どんなかたちであれ、手にとってくれる人がいるということですよね。どんな使われ方をされようとも。 お金を稼ぐ以外で、風俗で働く意味ってなんなんですかね。たまに、そんなに転々としてたら、1ヶ月20万くらいの稼ぎじゃん! と思うんです。 私は、風俗で働く女のコには必ず稼いでから辞めて頂きたいと勝手に思っております。せっかく、普通では体験できないような方法で稼ぎ、普通では稼げないような金を手にするのですから。 その代償を金額で残すべきです。